1次試験について

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概要
中小企業診断士試験は大きく1次試験(8月実施)、2次試験(10月実施)、口述試験(12月実施)の3ステップからなります。口述試験まず普通は落ちないと言われていますので、1次試験と2次試験の二つの山を乗り越えなければならないと考えておいて良いでしょう。それぞれの試験の性格は、1次試験は7科目のマークシート式、2次試験は4科目の筆記式ということで、前者は大量の知識のインプットが必要であり、後者は短時間で大量に文章をひねり出す訓練が必要になります。一般に2次試験の方が難関と言われますが、1次試験は1次試験でそれなりの準備期間をとらないと、合格はできないでしょう。
個人的な実感としては、1次試験は科目数的にも試験内容や時間的にも、おおむね「センター試験を突破する」くらいの気合いが必要と思われます。ただし、センター試験と比較すると、「合格点に達した科目があれば、3年間免除できる」「順位を争う訳ではなく、最低合格点に達すれば良い」という点で難易度としてはそれほど高くはないと思っています。
あとは、自分の業務経験やバックグラウンド知識などによって科目の得手不得手などが全く違ってきます。私などは、もともとが情報工学出身であったため、経営情報システムは勉強する前から合格に達する前から合格点がとれるレベルで、「こんなものに落ちる人がいるのか?」と思うほどで、最後まで得点源になっていました。一方で、経営法務や中小企業政策などは、最後まで自信を持った回答を作れるレベルに達することはできず、合格時も「運が良かった」と思ったくらいです。後に合格者同士の宴会で、普段は知財業務を行っている人から聞いた話では、私とは全く逆で経営情報システムには最後までてこずったということで面白いなぁと思いました。
どんな科目があるのか?
経済学・経済政策
財務・会計
企業経営理論
運営管理
経営法務
経営情報システム
中小企業経営・中小企業政策
どんな対策が有効だったか?
全科目
 とりあえず独学であれば、基本的には市販の教科書ないしは通信教育などを利用することになりますが、通信教育は教科書メインのもので5万〜10万くらい、DVDベースのもので、10〜20万くらいとお高くなります。20万円台ともなると時間があるのなら予備校などの選択肢も視界に入ってきますのでその辺りはよく考えた方が良いと思います。
 私は当初、一番安くすむようにと1次2次対応の添削つきで4万円くらいの、教科書ベースの通信教育を購入してみましたが、結果的にこれは私には合わず失敗したなと思いました。教科書は薄くて勉強しやすいのですが、あまり本試験の問題に結びつく知識が少なく、1、2ヶ月勉強してもあまり実力がついている実感がえられませんでした。今思えば、安めの通信教育は教科書の改訂頻度も遅いのが弱点かなと思いました。
 いろいろ教科書は買ってみた結果、最終的に一番手応えを感じたのは、TACのテキストシリーズでした。7科目すべてに対し、教科書→スピード問題集→過去問のようにステップアップできる仕組みになっており、内容もかなり本試験の出題傾向をとらえている感があり、やるたびに実力がついていく実感が得られるものでした。とはいえ、本当に全部の教科書/スピード問題集/過去問をそろえると通信教育並みの費用がかかってしまいますので、必要なものだけで十分と思います。(科目によってはあまり良くないなと思ったものもありますし。)細かいところは以下の科目別のところで紹介していきたいと思います。
経済学・経済政策
 もともと経済学の知識はないに等しかったのですが、結果的には1年目の試験で合格出来た、私に取っては最も簡単な科目の一つでした。単純に試験対策という意味では1次用教科書からはいってしまうのも手ですが、せっかく自分のペースで独学できるのですから、時間があれば一度マクロ経済学/ミクロ経済学の本格的な本を通して読んでみることをオススメします。
 上の2冊が私が試験前に読んだ本です。「これだ!」と思って私が自ら手に取った訳ではなく、当時住んでいた会社の寮の共用書庫にあったので借りパクして読んだだけなのですが。大学の教科書らしく、分厚く文体が堅いですが、全体的にイメージしやすい事例などを用いているので比較的わかりやすいかと思います。
財務・会計
経理なんかを実務でやっている人もしくはなにがしかの簿記資格を持っている方は、こんな科目朝飯前なのかもしれませんが、当時の私には全く未体験ゾーンだったので出来るようになるまで相当苦労しました。当然最後の3回目の試験まで残っていた科目です。なぜ苦労したかというと、勘定科目という無機質な用語がドバッと一度に出現して、「仕分けとはこういうモノ!」と分けもわからず天下り的に説明され、ちっとも頭に入ってこないからです。
 もしあなたが簿記のボの字も知らない方なら、悪いことはいいませんので、まずは3級ないしは2級あたりの簿記のわかる本を手始めに読んでみることをお勧めします。なぜ簿記が必要なのか?なぜこんな勘定科目があり、こういう仕分けをするのか?などがわかります。一応中小企業診断士試験としては、製造原価報告書にまで踏み込むことがあるので、工業簿記を含む2級あたりまでやっておくと良いかもしれませんが、あんまり本格的にやりすぎるとそれはそれで時間がかかるのでやめましょう。のめり込んだあげく会計士を目指すのもそれはそれでありかもしれませんが…(笑)。
 ちなみに、私が読んだ本は以上の2冊になります。当時の上司が中小企業診断士を受けるときに使ったとのことでお借りして読みました。(借りてばっかやな…。)あくまで、どういうものがどういう勘定科目で、どういうことが起こるとどういう仕分けが発生するかという具体的なイメージをつかむために読むと良いと思います。あまり突っ込んでトレーニングをやると、かなり時間をロスしてしまうかもしれません。問題が解けそうな実力がついてきたら、むしろ以下の問題集をこなしましよう。
 まず左の本で1次レベルの実力を完璧にしましょう。暗記するレベルまで何度も繰り返しましょう。本番は時間との戦いです。極端に言えば手が条件反射的に動かなければ、絶対に時間が足りなくなります。そして恐ろしいことに、この科目の不出来は2次試験までひきずり、しかも合否の境目となりやすいです。逆にこの分野は明確な正解があり、努力次第で満点も狙える科目です。1次試験の勉強時間のトータルの半分くらいは裂いても良いといっていいほど重要な科目です。
企業経営理論
この科目は、2回目の1次試験で合格出来た、私に取っては中程度の難易度でした。基本的には、組織論をしっかり頭に叩き込んでおけばよいでしょう。つまり、組織構造は戦略に従うじゃないですが、万能な組織構造というものは存在しなくて、会社の成長フェーズに合わせて適切に変え続けていく必要があり、どういう場面にはどういうのが良いのかときちんとロジックで結びつけて覚えることが大事です。
運営管理
 ボリュームこそ非常に多いですが、おそらく7科目中もっとも万人に対し易しいと思われる科目ではないかと思っています。私も、業務の対象が製造業ということもあり親近感も多かったので自然にいろいろ覚えることができ、1年目で科目合格できました。
 基本的には、スピード問題集を完璧に暗記出来れば怖いものなしなのではないでしょうか?私はスピード問題集1冊で十分対応できました。
経営法務
 法務は、3年目でようやく60点をパス出来たという超苦手科目でした。正直アドバイスできることは何もないのですが、一応ご紹介しますと、ここも基本に忠実にTACのスピードテキストとスピード問題集を繰り返し解きました。
 法務は、とりわけきちんと理論体系を順序立てて覚えていかなければ、覚えるのが苦痛な上に、すぐに忘れていってしまいます。例えば会社の設立要件なんかは頻出ですが、条件をすぐに忘れてしまいがちです。そんなときは、最も小さい会社(例えば個人経営)を思い浮かべ、これが例えば自分の金を投資して株システムを作れば、株式非公開の株式会社になり、公開すれば、公開会社になり…人数が…のように、小さな会社をちょっとずつ大きくしていくストーリーを考えながら脳にインプットしていくのです。これでだいぶ定着率が上がります。
経営情報システム
中小企業経営・中小企業政策

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